チェロ弾きの上司。
早瀬先生、颯爽とご登場。
相変わらず素敵でいらっしゃる。

「お久しぶりです。初めましての方は初めまして。早瀬マリです」

後半は、ヴァイオリンパートの後ろを見て言った。

実はこの前の定演の後、ヴァイオリンに何人か新しい人が入ったのよ。
早瀬先生、アマオケのメンバーの顔、覚えてるってこと?



「では、メンコン、頭から」

三神さんが楽器を構えた。
わー、どんな演奏するんだろ……。

この協奏曲、冒頭一小節半から、あの有名なヴァイオリンソロのフレーズが入る。


‼︎
うわぁ。
予想はしてたけど、すごいっ!

強烈な気迫が三神さんの身体全体から立ちのぼってる!
座って弾くのと違うダイナミックさ!

ピアノ(弱く)は、音量ではなく音色で表現。
クレッシェンドしてオケもソロもフォルテになっても、オケに負けずにちゃんと浮き上がって聞こえる。

音のハリがあたし達とはまるで違う。
コンマスの時とも鋭さが違う。

まぎれもなくソリスト!

あたしをはじめとして、圧倒される人、大多数。
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