チェロ弾きの上司。
でも途中で。
んっ、ちょっと痛いかも。
少し顔を歪めたのがわかったみたいで、響也さんが身体を倒してあたしを優しく抱き締めた。

「息吐いて……力抜いて」

あたしは言う通りにする。

「ん……上手」

唇が塞がれ、深くキスされる。
あたしがキスに応えるうちに、響也さんが腰を進めていて。

彼の全部を
受け入れたことを感じると。

響也さんが、唇を離して、大きく息を吐き、言葉をこぼした。

「あぁ、気持ちいい……」


それをきいた途端。


涙がポロポロこぼれてきた。


「みやっ? 痛い? やめる?」

焦る響也さんに向かって、あたしは必死で首を横にふる。

「違うの。うれしいの。響也さん、気持ちいい……?」

響也さんは何かに耐えているように、切なげに微笑む。

「すっごく気持ちいい」

あたしは胸がいっぱいになって、また涙をこぼした。

大好きな人が、あたしの身体で喜んでくれてることが、たまらなくうれしくて。

「あたしにも、できた?」

「ん。立派」

「よかった……。よかったです……」

響也さんはあたしを優しく抱き締めて、涙を舐めてくれた。
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