チェロ弾きの上司。
2人が出て行った後、あたしは大きく息を吐いた。
何だかすごいものきいちゃったなぁ……。
「三神さん、大丈夫でしょうか……?」
確かに最近、三神さんの調子が悪かった。
なんだか、とっても苦しそうに楽器を弾くと思ったら……。
「あいつなら、どんなメンタルでも一定の演奏はできるような鍛錬してきてる」
うん。それはわかるけど。
でも。
全開の三神さんを見たい。
お客さんに、全開の三神さんの音楽を聴いてほしい。
「オレ達にできることは、メンコンでソリストをしっかり支えて、グレートではコンマスに負担かけないようにきっちり弾くことくらいだよ」
響也さんが真剣な顔のまま、言った。