チェロ弾きの上司。


もうすぐお盆休み。
いっぱい楽器弾ける!
そして……
いっぱい響也さんと過ごせる。えへ。

だけど仕事は前倒ししておかないといけないので、忙しい。

そんな中、美人なクライアントさんが訪ねてきた。
30代の、グラマラスで、色気があふれる、美人。
自分のエステの店のサイトを依頼してきた。

現在応接室で、真木さんと打ち合わせしてる。
お茶をお出しすべく、応接室に入った途端。
お盆を落としそうになった。

だって。

美女が立って、ソファに座る真木さんの肩をマッサージしてる!
しかも前からよ⁉︎

「あら、ありがとう。そちらに置いておいてくださる?」

美女、余裕。

あー、お似合いだ。

あたしは震えないように、唇の内側をかみしめながら、お茶をテーブルに置く。

「お邪魔しました」

お辞儀して部屋を出ようとすると。

「望月、ちょうど良かった」

真木さん……、響也さんが、じっとあたしを見た。

「はい」

「音楽しりとり。ル」

「……ルットゥオーソ」
あたしは彼の瞳を見つめて答えた。

「ということで、ルットゥオーソ」
と、響也さんが美女に向かって言う。

「まあ、ずるい」

何やってんですか、あなたがた。


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