チェロ弾きの上司。

メンコンを終え、グレートまでの休憩時間が残り少なくなった頃。

ソリスト控え室にいた三神さんが、あたし達みんながいる練習室に姿を現わすと、大きな拍手が起こった。

疲労からはすっかり回復したらしく、いつもの三神さんに戻ってる。
すごい体力!

「では、みんな揃ったところで、今日の入場者数を発表しまーす!」

団長が声を張り上げると、一同、しーん、となった。

開場前のかつてない行列。
空いてる席を探すことが困難なほど、隅まで埋まった客席。

あたしは遠くにいる響也さんを見た。

目が合うと、響也さんはニヤっと笑った。

「1,002名! 我が団、初の満員です!」

大きな歓声と拍手が沸き起こった。

「皆さんの宣伝の努力はもちろんですが! サイト制作とネット宣伝を担当した真木響也にも拍手!」

響也さんはドヤ顔で立ち上がり、みんなに向かって会釈した。


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