チェロ弾きの上司。

後半は、シューベルトの交響曲第8番 ハ長調、通称『ザ・グレート』。

かつてないほど完成度が高い本番となった。


特にすごかったのは、第4楽章。
曲自体すごい推進力を持ってるけど、低弦がズンズンあおるから、ものすごい勢いで曲が流れていく。
単に速いんじゃなく、質的に、勢いを感じさせるというか。
練習の時から早瀬先生がしつこく低弦捕まえて指導してたもんね。
響也さんはいつになく、激しい弾き方。
最近響也さんの弾き方が変わった。感情剥き出しで激しく弾くことがある。……ちょっと、いや結構ドキドキするのは秘密にしとこ。

途中から鳥肌が立ってきた。
なんだかすごいものを作り上げてる気がする。シューベルトが表現したかった、美しく大きな世界。
神経を研ぎ澄まして、きっちりアンサンブルして、音量も速さも計算して音楽を積み上げていくと、こんな世界が広がってるんだ!
あたし達にこんな世界を見せてくれるなんて、早瀬先生、すごいです!




拍手が続くなか、何度目かのカーテンコール。
早瀬先生が登場して、オケを立たせようとするけど、三神さんは立たずに、早瀬先生に拍手を送った。
それを見て、オケのみんなも拍手、または足踏み。
あたしも思いっきり拍手。

早瀬先生とも音楽ができて、良かったです!


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