チェロ弾きの上司。
エピローグ
打ち上げの後、響也さんの家にお泊まり。
明日の月曜日は、2人とも休みをとったので、思う存分…………いちゃいちゃできる。てへ。
「で? みやは何でオレのこと、好きになったんだ?」
ベッドに座り、あたしを後ろから抱き締めながら、響也さんは質問を繰り返した。
「……思うに、チェロ弾きの上司だったからですね」
「何だそれ。顔とか性格じゃないのかよ」
「お顔は、願わくばもう少し普通でよかったです。性格も、優しいところがあるとかじゃなくて、普通に優しい人がよかったです」
「喧嘩売ってんのか、贅沢ものめ」
響也さんはあたしの脇腹をつねる。
いてて。
「オレがヴァイオリン弾いてたら好きにならなかったっていうのか?」
「はい。粗探ししちゃってたと思います」
「オレが上司じゃなかったら?」
「オケだけの付き合いだったら、きっと遠い人のままでした」
人生、どう転ぶかなんてわかんないもんだなぁ。