チェロ弾きの上司。
番外編〜ヴァイオリン弾きの部下〜
好きな作曲家を挙げるとしたら、オレはドミートリイ・ショスタコーヴィチを一番に挙げる。
独特のハーモニー。
予測できずに振り回される転調。
こう来るか!という変拍子。
ユーモアとペーソス。
さらには、歴史背景……
と。このへんにしておくが、とにかく、ツボにはまる。
彼女を好きになった理由とことごとく共通するということに気づいた時には、数時間笑いが止まらなかった。
……変態だな。自覚はある。
その彼女はオレのことを変態だの頭おかしいだの言うが、彼女だってかなり変わっている。
オケの曲暗譜するとか、アホじゃないのか。何ページあると思ってる。譜面見ながら弾いていいんだぞ。
本人によれば、練習してるうちに覚えちゃう、とのことだが、どんだけ真面目に練習してんだよ。
まあ、彼女が真面目なことは、仕事ぶりを見ていてもわかる。
まめにメモをとり、飲み込みも早い。わからないことはきちんと相手にきく。
こちらが多少無理な仕事を振っても、かなりの確率で期限までにきっちり仕上げてくる。
なかなか、できる部下だ。