チェロ弾きの上司。

つたなくても、彼女なら愛をこめてしてくれると思ってた。
それで充分だった……はずなのに。


オレは、何か、とんでもない事態になり始めていることを感じていた。


彼女は、真面目だ。
シンフォニーを練習しすぎて暗譜するほどに。

そんな彼女が、勉強した、だと?

結果なんて、予想がつく。



「ぁ……っ」

彼女の手の動きに、声をあげさせられる。

信じられない。
このオレが。


彼女は、オレの太腿の内側を舐め上げる。
ところが、唇が、そこに触れるかと思うと、逃げていく。

散々焦らされ、快楽のネジがギリギリと締め上げられる。

やばい……。

「ねえ、響也さん。どうしてほしいですか?」

くそっ……。

彼女を見ると、妖艶に微笑んでいる。

妖艶。
半年前の彼女には、およそ似つかわしくない言葉だった。

こうさせたのはオレだという自負はある。

が。
まさかこんな形で返ってくるとは。
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