チェロ弾きの上司。

「みなさんお疲れ様でした」
しばらくしたとき、三神さんがあたしたちのテーブルにやってきた。
「きゃー!」
「三神さん! どうぞどうぞ!」

三神さんは打ち上げの時いつも、それぞれのテーブルを回ってくれる。すごい気遣い。
三神さんは、あたしの隣に座った。

「望月さんはまた泣いちゃったんだって?」

あたしを見て優しく言ってくれたけど、恥ずかしい!

「すみません。華子先生に以前、聴かせる側は感情に溺れすぎちゃいけないって言われたのに……」

華子先生とは、三神さんとあたしが通ってたヴァイオリン教室の先生。

あたしが小さくなっていると、三神さんは優しく言ってくれた。

「僕は、望月さんが元気に楽器弾いてくれてすごく助かってる。次回もよろしくね」

「はい、頑張ります!」

ああー、この励ましでまた次の半年も頑張れる!



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