チェロ弾きの上司。
◇
そして翌日月曜日。
まだ昨日の響きが身体に残ってる。
時折思い出してはニヤニヤしたり、じんとしたり。
最低限の仕事をこなし、定時になった。
疲れてるから、早く帰ろ。
フロアのみんなに挨拶する。
真木さんは……いない。
廊下に出ると、ガラス貼りの休憩室でコーヒーを飲んでいるのが見えた。
挨拶しようかどうしようか迷っていると、あたしに気づいた真木さんが、ちょいちょいと指であたしを呼んだ。
そんなキザな仕草も似合うのが憎らしい。
何だろ、仕事の指示かな。
もう業務終了時間だから、勘弁してほしいなぁ……。
あたしはのろのろと休憩室のドアを開けた。
「お疲れ様です……」
「望月、今日は調子悪いのか。よくぼうっとしてたが」
ひゃー。
昨日のこと考えてぼうっとしてました、なんて言えない。
あたしが真木さんの胸の辺りを見ながら、何て返事しようか考えていると。
「それはそうか。ゲネプロやって、本番泣きながら弾いて、打ち上げであれだけはしゃいでれば、仕方ない」
そして翌日月曜日。
まだ昨日の響きが身体に残ってる。
時折思い出してはニヤニヤしたり、じんとしたり。
最低限の仕事をこなし、定時になった。
疲れてるから、早く帰ろ。
フロアのみんなに挨拶する。
真木さんは……いない。
廊下に出ると、ガラス貼りの休憩室でコーヒーを飲んでいるのが見えた。
挨拶しようかどうしようか迷っていると、あたしに気づいた真木さんが、ちょいちょいと指であたしを呼んだ。
そんなキザな仕草も似合うのが憎らしい。
何だろ、仕事の指示かな。
もう業務終了時間だから、勘弁してほしいなぁ……。
あたしはのろのろと休憩室のドアを開けた。
「お疲れ様です……」
「望月、今日は調子悪いのか。よくぼうっとしてたが」
ひゃー。
昨日のこと考えてぼうっとしてました、なんて言えない。
あたしが真木さんの胸の辺りを見ながら、何て返事しようか考えていると。
「それはそうか。ゲネプロやって、本番泣きながら弾いて、打ち上げであれだけはしゃいでれば、仕方ない」