チェロ弾きの上司。
ーーーっ‼︎‼︎
ざあっ、と、自分の身体の中から、血の気が引く音が聞こえた気がする。
ばれた。
ばれてる。
ばれてた。
「気付かれてないと思ってただろ」
はい。それはもう。
「アホか。最初の練習日で気づいてたぞ」
うそっ!
「みんな楽譜見てるなか、顔上げて指揮者とコンマス見ながらヴァイオリン弾いてる奴がいると思ったら、チャイ5歌ってた部下じゃないか」
チャイ5鼻歌事件、覚えていらっしゃいましたか……。
「お前、暗譜してんの?」
黙って頷く。
「ふーん。いつになったら挨拶に来るのかと待っていたんだがな。本番前にかましてやろうかとも考えたんだが、お前が本番弾けなくなったら三神に怒られるだろうからやめておいた。感謝しろ」
……ありがとうございます……。
「だいたい、パンフに団員一覧載っただろうが」
真木さんはそういうの見ないタイプだと思ってました。
……しばし沈黙。
どうしようどうしようどうしよう。
頭の中真っ白。