チェロ弾きの上司。
「で、さっきから一言も発していないが、何か言うことは?」
あたしは頭を下げ、声を絞り出す。
「……申し訳ございませんでした……」
すると、頭の上から、それはそれは楽しそうな声が降ってきた。
「オレの目を見て言ってみ?」
なぬーっ⁉︎
わかってたけど、この人、Sだ! ドSだ!
あたしの顎のアザを指摘した時も、爪の長さを指摘した時も、内心面白がってたんだ!
「ほら」
あたしは、おそるおそる真木さんの顔を見る。
……サディスティック……!
片方の口角をきゅっと上げた意地悪な笑顔であたしを見てる。
瞳を楽しそうに輝かせて。
くっそぅ〜。
人をいたぶって楽しいかっ!
「申し訳ありませんでしたっ!」
言葉を投げつけ、休憩室から走り出た。
うえーん。アカリン、あなたの忠告は正しかったよ!