チェロ弾きの上司。
そしていよいよ、次の練習日で、合奏開始!
“合奏”って何だか響きが子どもっぽいけど、みんなで合わせるから、やっぱり“合奏”なのよね。
(ちなみにセクションごとだと、“分奏”とかいったりするけど、練習場所や練習日が限られてるうちのオケではあまりやれない。)
今日はシェヘラザードの初合奏!
三神さんのソロが聴けるんだ! わーい! もーすっごく楽しみ!
開始前に音出しをしていると、三神さんがやってきた。
穏やかな笑顔を浮かべていらっしゃる。
あぁ、楽器弾いていなくても素敵。
「望月さん、今日トップサイドお願い」
ぎゃー。初合奏でトップサイド⁉︎
文字通り、トップの隣。
一番前。指揮者の目の前。
オケの弦楽器奏者、たまにどこ弾いてるかわからなくなったら、周りに合わせて立ち直ります。
一番前はそれができないのよー!
間違えて笑われたりトップに怒られたりするならまだしも、それによって後ろの人たちを混乱に陥れる可能性もあるわけで、責任重大。
誰も進んで座りたがらないので、うちのパートでは、その日にトップが指名するならわしとなってる。
まあ、絶対間違えられないトップのプレッシャーに比べたら何て事ないので、なるべく笑顔で引き受けようと心がけてはいるけど、初合奏で、となると……。