チェロ弾きの上司。
チェロ弾きの上司との冬〜I〜

ルーチンの仕事をこなし、
横暴な上司から振られる仕事をこなし、
オケの練習を重ねていくうちに、
あっという間に年末。

今日は会社の忘年会。
仕事納めの日にやるのが恒例。

和食創作料理のお店の一室に、12人。
長〜い机に、ひとりひとり御膳がついてる。
取り分ける必要なし。
さすが、幹事の佐倉さん。

しかも、うちの会社、女性が偉い人にお酌をしに行く習慣はない。
あたしは端っこの席に座ったまま、周りに座ったお姉様方の話をききながら、食べつつ、飲む。

趣味の話とか、お子さんの話とか、普段と違う姿を知ることができて、楽しい。

真木さんとは席遠くだし。

「ねーねー真木くんは彼女いるのー?」

中央に座っていて、いい具合に出来上がってる佐倉さんが、真木さんにからみ始めた。

「教える必要はないと思いますが?」
「いないな」
「何でですか」
「色気がない。女性に優しくない」
「なっ……」
「チェロが彼女だなんて負け惜しみ言わないでよねー」

ママ、強い!
日頃の恨みを晴らしてるかのよう。
うらやましい。
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