チェロ弾きの上司。

真木さんはまた、あの片方の口角をキュっと上げた、サディスティックな笑みを浮かべて…………ない。

何かを考えこむように、探るように、じっと、あたしを見ていて。

「望月は…………」

はいっ⁉︎

真木さんは何かを言いかけたけど、口をつぐんだ。

「いや。何でもない。来年もよろしく。気をつけて帰れよ」

はっ⁉︎

何ですと?
何か優しい言葉を聞いた気がしたけど。

真木さんはさっさとホームへ続く階段をあがっていってるし。
あたしはぽかんとして見送る。

幻聴……?
もしくは、ツンデレ……?




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