チェロ弾きの上司。
◇
「で、本番まであと2週間だが、自信の積み重ねとやらはまだかな、モッチー」
……趣味でも嫌味言われるなんて、ほんと、上司とカルテットやるもんじゃないな。
ただいま、三神さん家でカルテット練習中。
あたしだって、今までにないくらい、練習してる。
朝練してるし、
残業しないように、お昼休みと午後のお茶休憩を削って、定時になるなり飛んで帰って、練習してる。
技術的にはそんなに難しくないから、音符は弾けるようにはなってる。
ただ、表現とか、音色とか、三神さんや真木さんのレベルと比較すると、到底及ばない。
お稽古ごととして楽器を習って、その延長でオケでみんなと一緒に弾いてきたあたしと、舞台で1人で弾いた経験のある彼らとでは、埋めがたい、大きな大きな差があるのよね……。
「いつになったら自信が持てるのか、見込みを言ってみろ」
「……暗譜するくらい弾き込んだら、でしょうか……」
「暗譜する必要ないだろ。譜面見ろ、置いておくんだから。その労力、他に使えよ」
アカリンがハラハラしながら、あたしと真木さんを見守っている。
大丈夫。仕事で慣れてるから。
「で、本番まであと2週間だが、自信の積み重ねとやらはまだかな、モッチー」
……趣味でも嫌味言われるなんて、ほんと、上司とカルテットやるもんじゃないな。
ただいま、三神さん家でカルテット練習中。
あたしだって、今までにないくらい、練習してる。
朝練してるし、
残業しないように、お昼休みと午後のお茶休憩を削って、定時になるなり飛んで帰って、練習してる。
技術的にはそんなに難しくないから、音符は弾けるようにはなってる。
ただ、表現とか、音色とか、三神さんや真木さんのレベルと比較すると、到底及ばない。
お稽古ごととして楽器を習って、その延長でオケでみんなと一緒に弾いてきたあたしと、舞台で1人で弾いた経験のある彼らとでは、埋めがたい、大きな大きな差があるのよね……。
「いつになったら自信が持てるのか、見込みを言ってみろ」
「……暗譜するくらい弾き込んだら、でしょうか……」
「暗譜する必要ないだろ。譜面見ろ、置いておくんだから。その労力、他に使えよ」
アカリンがハラハラしながら、あたしと真木さんを見守っている。
大丈夫。仕事で慣れてるから。