チェロ弾きの上司。
ステージ終了後、練習室に戻り、楽器を置いて、アカリンと抱き合う。
「アカリンすごかったよー!」
「ありがとねー」
三神さんと握手。
「ありがとうございました! すごく勉強になりました」
と言うと、
「ね、楽しかったでしょ?」
と優しく笑ってくれた。
そして、……真木さんと……
って、楽器片付けてるし!
「真木、ちゃんと挨拶しなよ」
真木さんは面倒くさそうに、手を止めずに言った。
「はいはい。頑張ったんじゃん? お疲れ」
……褒められた?
「バカ。ちゃんとだよ」
三神さんに言われ、真木さんはあたしに手を差し出した。
「上出来」
あたしはその手を、おずおずと握る。
あったかくて、大きくて。
顔を見ると、照れたように少しだけ笑ってくれて。
途端。
涙がポロポロ溢れてきた。
あれ。あれれ。何だ何だ。止まんない。
慌てて手を引っ込め、顔を覆う。
それでも、ちゃんと言わなきゃ。
「ありがとう、ございました……」
「おい、お前……」
「ちょっと真木、何泣かせてんの!」
「オレかよ! 何もしてないだろ!」
「もー、モッチーは泣き虫さんなんだから。今日はあたしの胸で泣きな」
アカリンがあたしを優しく抱き締めて、頭をナデナデしてくれた。
「今日は、ね」