それぞれの崩壊

その瞬間、突然僕自身の右足が激しく痛み出した。まるで、何者かの手が足の中に入り込んで、周りの肉を掻き回しているようだった。
　
「あ、あぎいぃぃぃ！！」
　
僕は友達の横にうずくまり、友達と同じような格好で右足を押さえた姿勢になった。
　
誰かの知らせですぐに先生が駆け付けたが、僕はその後、「苦しんでいる友達の前でその物まねをするなんて、何て酷い奴だ！」と叱られてしまった。
　
本当に痛かったのだ、と何度釈明しても、信じてもらえなかった。
　
今思えば、あの先生も僕を馬鹿にする医師も、同じようなものだ。
　
それから何度も同じ発作を起こした。
　
冬に教室のストーブで手を火傷した女の子を見た時も、工作の時間に彫刻刀で指を切った男の子を見た時も、彼らが怪我をしたのと同じ場所が痛んだ。
　
僕は次第に怪我人がいる場所を避けるようになり、友達からは「薄情な奴」「女々しい奴」と、避けられるようになった。
　
町を歩いていても、必ず誰かの痛みに出くわす。
　
僕は常に下を見て、道の隅っこを歩くようになった。