それでも、意地悪な君が好き。
「香織、だ、大丈夫?
食べて元気だそう?ね?」
お昼の時間。
ただ事じゃないと焦る和花。
それもそのはず。
大好きなお弁当を前にしてもため息だらけで。
食欲のないあたしは箸を持つ手すら動かない。
もしかしたらハルが午後居ないのはサトミと…
なんて考えたりしちゃって
いつもならどんな時でも食べれば元気が出るあたし。
なのに柄でもなく食欲がないなんて
これじゃあまるで恋する乙女だ…
和花には
こないだの教室での出来事は話していた。
それから…
ハルへのあたしの複雑な気持ちも。
自分の中で認めたくなかった気持ちも
和花に話すとスーっ心が軽くなった。
そんな和花は驚く様子もなく
『香織姫はやっと眠りから覚めたましたか♪
長かったぁ~』
なんて冗談を言って笑っていた。
そんな言葉に首をかしげていると、
『二人にはもう少し楽しませてもらえそうだわ♪』
なんてまた訳が分からない事を言われたっけ。