それでも、意地悪な君が好き。
ハルの腕に包まれ
緊張で心臓が飛び出しそうなあたし。
もしかして…
またからかわれてるの…?
それでも
あたしの体は素直で
カタカタと震えていた揺れは
ハルの温もりで静かに消えていった。
「ハル…?」
あたしの肩に顔を埋めたまま動かないハル。
「無事で良かった…」
優しい声でささやくハルの体は微かに震えていた。
ハル…
そっとハルの体に腕を回す。
それに応えるように
あたしを包むハルの腕に力が入った。
「ハル…
迷惑かけてごめんね
でも…
ハルが来てくれて嬉しかった」
ハルからしたらただ迷惑をかけられるやっかいな存在でしかないかもしれない。
でも
でもね
あたしからしたらハルはヒーローなんだよ。
「期待しちゃうだろうが…」
「えっ…?」
ボソッと呟くハルが何て言ったのか聞き取れなかった。
そんなハルの顔は
夕焼けに照らされてほんのり赤く色づいていた。
「なんでもねぇーよ…」
そっぽを向くハル
それがなんだか
くすぐったくて可愛かった。