それでも、意地悪な君が好き。
「あらら~
ビショビショじゃん
脱がないとね~」
「俺ら手伝うよ?」
笑いながら濡れたパーカーのチャックに手を伸ばす男。
もう1人は完全にあたしの体を抑えている状態だ。
冗談でしょ?
なんなのこの人達…
差し伸べられた手を見て恐怖が襲ってくる。
「コイツ俺のツレなんですけど。
なんなら一緒に遊びます?」
チャックをおろされそうになった寸前で
男の手を掴むハル。
「い、いや大丈夫です…
おい!行くぞ」
笑っているのに目だけが笑っていないハル。
そんな様子に驚くように男達は去って行った。
「お前は襲われるのが得意なのかよ…」
呆れるようにため息をつくハル。
「ごめんなさい…
あと、ありがとう…」
やっぱりハルはあたしのヒーローだ。
謝りながらもちょっとだけ笑みがこぼれてしまう。
でもどうしてあたしの事分かったんだろう?
「お前の姿が見えないからって茜が心配してたから
俺が捜しに来たわけ…
早く戻るぞ」
あたしの顔を見ただけで考えてる事が分かるなんて
ハルはやっぱり凄い。
それとも、それだけあたしが単純なのかな?