それでも、意地悪な君が好き。
「わぁ~
やっぱり花火はいいねぇ♪」
ご飯を食べて一段落着いた頃、
あたし達は浜辺に来ていた。
さっそく花火に火を付け喜んでいる茜。
「茜、火気を付けろよ!」
「は~い」
何事もなかったように振る舞うハルと茜。
二人の自然な会話にもいちいち反応してしまうあたし。
「香織大丈夫?はい花火」
あれから色々な事が手につかなくて、なんだか上の空だった。
二人のキスの事ばかり気にしてしまってご飯もあまり食べられなくて…
そんなあたしを大丈夫?具合いでも悪い?
と心配してくれる茜に本当の事を言うタイミングがなかった。
そんな中、同じく動揺していてた晴人は最初ばかりはぎこちない感じではいたけれど
夕食後にはいつもの晴人に戻り、様子がおかしいあたしを気遣ってくれていた。
「うん。ありがとう」
パチパチと音をたてる花火を手渡された。
鮮やかに光るそれはとても綺麗なのに
なぜか悲しい色をしていた。
茜にちゃんと話さなきゃ。
ボーッと花火を見つめながら、あたしはそう心に決めた。