それでも、意地悪な君が好き。
「ライバルが友達じゃ辛いよな…」
「どうしてその事…」
不思議でしょうがなかった。
あたしの気持ちに気付いていたのも驚いたけれど、
あたしもさっきまで知らなかった茜の気持ちまで…
どうして晴人が知っているんだろう。
「茜は昔から分かりやすいからな」
そう言う晴人だったけれど、
もしかしたらあたしが鈍感だっただけなのかもしれない。
いつも一緒にいるのに…
「はぁ……」
どうしてすぐに気付かなかったんだろう…
自分に呆れてため息が出る。
「香織は優しいから…
茜を傷付けたくないんだろ」
なにもかもお見通しだった。
そっと見上げると
晴人はいつものように温かい表情であたしを見つめている。
そして、優しく微笑み頭を撫でた。
「あたし…
どうしたら良いんだろう…」
溢れ出す感情に涙が頬を伝う。