それでも、意地悪な君が好き。
「俺じゃダメかな…」
「えっ………?」
どういう意味…
訳が分からない状況に混乱する。
「俺、ずっと香織が好きだったんだ…」
嘘……
どうして……
驚くあたしに困ったように笑う晴人。
「本当はさ、もしかしたら俺の事…
なんて期待した時もあったんだ…
でも、やっぱり香織はハルをいつも目で追ってて、
自分では気付いてないみたいだったから…
その間に告白しちゃうか…なんて思ってたんだけどさ…
ハルに対する気持ちに気付くのも時間の問題だと思って。
だったらその時に勝負しようと思ってたんだ」
すごく男らしくて、揺るぐ事なく真っ直ぐな視線にドキドキしてしまう。
夜風があたしの頬をくすぐる。
晴人の意外な告白に戸惑うも、真剣な表情にバクバクと心臓が高鳴った。
晴人が言う期待した時もあった…
と言う言葉が胸を痛める。
あたしが晴人を好きだと思っていた時間も
そして、ハルが好きだったと気付いてしまった時間も
晴人は一人で全部受け止めていたんだ。
そんな晴人の気持ちにも気付かなかったあたし。