それでも、意地悪な君が好き。
晴人を好きだと思っている時に告白されていたら、浮かれるあたしは迷わず付き合っていただろう。
そして、ハルを好きだと気付いたとしても…
自分の気持ちは押し殺していたと思う。
そんな風になる事を晴人は知っていたんだ。
だから…
あたしを苦しめないために
時間をかけて見守っていてくれたんだろう。
それなのにあたしは…晴人に甘えてばかりで…
こんなに大事に思ってくれていたんだ思うと胸が張り裂けそうになった。
それでも…
あたしを真剣に思ってくれる晴人を前にして
気持ちが揺らぐ事はなかった。
恋というものは時に残酷だと思う。
他に思う人がいる人をずっと好きでいる事は本当に辛い事だし
それが身近な人なら尚更だ。
あたしを好きだと言ってくれる晴人。
ハルを好きなあたし。
両思いと噂があったハルと茜…
止める事が出来ない思いにいつまで苦しめられれば良いのか分からない。
心が交じわる事はないかもしれない…
それでもあたしは
どうしようもなくハルを思ってしまうんだ。
「晴人…ありがとう
でも、あたしやっぱりハルが好きなの」
晴人の真剣な思いに、あたしも真剣に応えた。
同時に、迷っていた気持ちにケジメを付けた。
茜に本当の気持ちを素直に伝えよう。
そう心に誓った。