それでも、意地悪な君が好き。
「香織~!早くしなさーい。
晴人くん来てるわよ~!!」
ドキッ…
相変わらず晴人にぺちゃくちゃ話しかけるお母さんの声。
「はっ…はーい!」
夏休みも終わり、新学期。
いつもの日常が始まった。
夏休み中の晴人の告白をのぞいては…
緊張しながら準備を進めるが
どんな顔で晴人に向き合ったら良いのか分からない。
そんな時、あたしは和花に言われた事を思い出した。
よし!
いつも通り。いつも通り。
そう心がけながら階段を降りる。
「晴人お待たせ!」
精一杯の笑顔で玄関の前に立った。
「おはよう香織」
少し緊張していた様子の晴人もあたしの対応に少しずつ笑顔に変わっていった。
久し振りでぎこちないあたし達だったけれど、
笑顔で向き合うと、そんな事も忘れてしまえた。