それでも、意地悪な君が好き。
「聞いてよ!
ハルったらさぁ授業中に寝言言ったんだよ~」
「うるせ~な
こいつらにまでバラすなよ」
いつもの昼休み。
茜の席を囲ってお弁当を広げるあたしと和花。
隣の席はハル。
よって自然と一緒に昼食を食べている感じになった。
隣の席だからか二人は前より距離が近くなったように感じる。
ズキズキと刺さる胸の痛みに慣れる事はない。
慣れるどころか痛みは日増しに大きくなるだけだった。
キャッキャと楽しそうに笑う茜に、どう伝えたら良いんだろうか…
そればかり考えていた。
毎日。
毎日。
今日こそは…って思うのに。
ハルの事で無邪気に笑う茜を見ていたら、それを壊す勇気はとてもじゃないけど出なかった。
ただ一言、ハルが好き。
そう伝えたいだけなのに。
あたしは恐くてしかたがなかった。