それでも、意地悪な君が好き。
放課後になり、あたしは学校の近くにあるファーストフード店に茜と入った。
「香織何かあった?」
終始緊張していたあたしはきっと顔が強張っているだろう。
そんなあたしに茜まで困惑させている感じだった。
「茜…実はね……」
その後のセリフが中々出てこない…
もしかしたら、茜とはもう友達でいられなくなるかもしれない。
そんな不安が一気に襲ってくる。
「言いにくい事なんだね…」
覚悟するように、いつもとは違う真剣な表情に変わる茜。
緊迫した空気に手が震えてくる。
ここまできたら言わなきゃ。
自分で自分の背中を押すように、大きく深呼吸をして息を整えた。
「あたしもね…ハルの事が…
好きなの…」
自分でも分かるくらいに震える声だった。
言っ…ちゃった…
茜はどんな顔をしているんだろう…
怒ってるかな…
いや、もしかしたら悲しんでるかもしれない。
うつ向いた顔を上げる勇気はなくて、握ったまま震える拳を見つめていた。