それでも、意地悪な君が好き。






「あっ!また余計な事考えたでしょ‼」


びっくりしているあたしに、茜は大きくため息をついた。



「香織は関係ないからね!あたしの問題。
諦めたっていうか…違ったの。

確かに昔は好きだったんだけど…
今もそう思っていただけだったというか…

まぁ振り向いてくれる気配が全然なかったから、自分の気持ちに気付いたんだけどね」



なんだか茜の気持ちがちょっとだけ分かる気がした。

あたしもずっと晴人が好きだと勘違いしていたから…


あたしの場合は気付きたくなかった期間が長すぎたけど…




「で、香織はいつからハルが好きなの?」



「実はね…――――」



やっと話す事が出来た…

あたしがハルを好きだと気付く前からの話しを全部…

ありったけの思いを茜に吐き出した。




「なるほどねぇ…
なんかあたし達似てるかもね」



「確かに」



「晴人が香織の事好きなのは気付いてたけど、まさか告白してたとはねぇ…
でも香織はハルが好きなわけで…

あたし余計な事しちゃってたなぁ…」



「余計な事?……あっ‼」



ふと、思い返して見ると茜の不審な行動は多々あった。

やたら晴人とあたしを二人きりにしようとしていた茜。


ひょんな事から、謎だった行動も全て晴人に対する思いやりだったんだと納得した。



ふっ。と吹き出すあたしにつられて笑う茜。



ちゃんと向き合えて本当に良かった…




曇りのない空間に笑い合う二人。

ただそれだけなのに、嬉しさで涙が出そうだった。









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