それでも、意地悪な君が好き。
帰り道。
ハルはなんだか上の空だった。
それでも、隣りを歩くあたしの歩幅にも黙って合わせてくれる。
そんな優しさに心が温まった。
ずっとこうして近くに居られたらいいのになぁ。
ハルと一緒にいるとそんな欲が強くなる。
ハル…
あなたは今、何を思っているの?
夕焼けに照らされたハルの横顔にドキドキしながら
心の中の気持ちをハルにぶつけていた。
「ハル…」
「んっ?」
心の中で囁いていたはずの名前をつい口に出してしまった。
夕焼けのせいか、ハルの笑顔がすごく優しく見える。
バクバクと高鳴る心臓の音はさらに激しさを増した。
「ハルは好きな人いるの?」
あっ……
言ってしまった…
だって
ハルの優しい笑顔がそれを許してくれる気がしたから。
結果次第ではあたしはこの場で泣き崩れてしまうかもしれない…
でも、時すでに遅し。
もう…あたしはハルの返事を待つしか出来ない。