それでも、意地悪な君が好き。
数日後。
あの日から江崎くんは、あまりあたしに話しかけてこなくなった。
ハルの存在が、彼をここまでセーブさせるのは凄い事だ。
とは言っても、時々ハルが睨みをきかせているのも原因だとは思うけれど…
それよりも…
ハルの変化にあたしは戸惑っていた。
江崎くんに話しかけられると、決まって近くに来てくれるハル。
でも、それだけじゃない。
なんだか前よりも、ずっとずっと近くにハルを感じられるようになった気がしていた。
例えば…
『あのさ、菊地さんって彼氏いるのかな?
もしいなかったら…』
『俺が彼氏だけど』
とか…
『菊地さん、今日暇?暇だったら…』
『悪いけど、俺が先約なんだよね』
とか…
何かとあたしの前に現れては勝手に断りを入れるハル。
江崎くんの事があったから気にしてくれているのか…
それとも、面白がっているだけなのか…
分からない。
まぁ…後者だろうけどね。
そんな時、ハルが決まって言うのが
『人助け♪だって友達だろ?』
なんて…
意地悪に笑いながら。
完全に楽しんでるわけ……
それでも、あたしはハルが構ってくれる事が嬉しかったりした。