それでも、意地悪な君が好き。






数日後。

あの日から江崎くんは、あまりあたしに話しかけてこなくなった。

ハルの存在が、彼をここまでセーブさせるのは凄い事だ。

とは言っても、時々ハルが睨みをきかせているのも原因だとは思うけれど…




それよりも…

ハルの変化にあたしは戸惑っていた。


江崎くんに話しかけられると、決まって近くに来てくれるハル。

でも、それだけじゃない。


なんだか前よりも、ずっとずっと近くにハルを感じられるようになった気がしていた。





例えば…



『あのさ、菊地さんって彼氏いるのかな?
もしいなかったら…』


『俺が彼氏だけど』



とか…



『菊地さん、今日暇?暇だったら…』


『悪いけど、俺が先約なんだよね』



とか…

何かとあたしの前に現れては勝手に断りを入れるハル。



江崎くんの事があったから気にしてくれているのか…

それとも、面白がっているだけなのか…


分からない。

まぁ…後者だろうけどね。



そんな時、ハルが決まって言うのが

『人助け♪だって友達だろ?』


なんて…

意地悪に笑いながら。
完全に楽しんでるわけ……


それでも、あたしはハルが構ってくれる事が嬉しかったりした。








< 222 / 246 >

この作品をシェア

pagetop