それでも、意地悪な君が好き。






そっと離される唇…


何が…起こったの…

追い付かない思考に頭の中はパニックになった。

それでも…しっかりと残る唇の温かい余韻。


あたしをじっと見つめ、次第に赤くなっていくハルの顔にそれが現実なんだと理解した。



「ハル…」


その名前を呼ぶだけで、全身が熱くなっていくのが分かる。



「お前が悪いんだからな…
俺に逢いたかったから…
なんて言うから…」


恥ずかしそうに視線を反らすハル。

そんな姿に淡い期待を抱きながら…


「だって…
本当なんだもん…」


一瞬、驚いた表情を見せながらもハルは照れるように微笑んだ。


その表情は…

切なさを見せない…

とても優しい笑顔だった。



「お前…また襲われたいの?」



いつものようにイタズラに笑うハルだったけれど、あたしを見つめる視線は真っ直ぐだった。


また少しずつ近くなる距離に…

すでにコントロールがきかない胸の音は暴走していた。


すると…

起き上がったと同時に、ハルの手から何かが落ちた。



「あっ……」


それはハルが大事そうに握っていた四つ葉のクローバーのしおりだった。


そっと拾い上げハルの手元に戻した。








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