それでも、意地悪な君が好き。






「俺がお前を傷付けて泣かせたから…」



「それって…
前にハルが謝ってくれた日の事?」



「違う…ずっと昔…
まだ俺らが小学校に入ったばかりの頃の話し」



そうか…

だからハルは前に『二度も泣かせたな』なんて言っていたんだ。



でも…

あたしにはそんな記憶がない。

ハルは何の事を言っているんだろう…



ハルは
必死に思い出そうとうずくまるあたしの頭を、ポンポンと優しく撫でた。


「俺、お前の事嫌いって言ったんだ…
何度も何度も…
お前が諦めて帰るまで…」



ハルの言葉にズキッと胸の痛みが襲う。



「あっ…」





思い出した…


まるで、開けてはいけないパンドラの箱を開けてしまったかのように…


次々とよみがえってくる辛い記憶…



そうだ

あたしは思い出せなかったんじゃない。

思い出したくなかったんだ……









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