それでも、意地悪な君が好き。
『香織ちゃん!?大丈夫?』
うずくまり泣いていたあたしに声をかけたのは
学校帰りでたまたま公園に来た晴人だった。
そして晴人は、地面に座るあたしの手を取り砂で汚れた服をはたいてくれた。
『晴人くん…ハルくんがね
香織の事…嫌いに…なったって』
涙で途切れ途切れになってしまう言葉を晴人はゆっくり聞いてくれた。
『ハル…どういう事なの?
なんで香織ちゃんにそんな事…』
何も知らない晴人は驚いた様子でハルを問い詰めた。
『別に…ただ嫌いになったから言っただけだよ。
晴人はこいつが好きなんだろ?だったら一緒に居ればいいじゃん』
『なんだよそれ…』
いつも穏やかな晴人も、この時ばかりはすごく険しい表情をしていた。
『みんな行こうぜ!!』
全てを吹っ切るように後ろで待っていた男の子達に視線を変えるハル。
そんなハルの言葉に男の子達は笑顔でその場から離れて行く。
その後を追うように、ハルはあたし達に背を向けた。