それでも、意地悪な君が好き。
『分かったよ…
これからは僕が香織ちゃんを守るから…
香織ちゃん…行こう』
そっとあたしの手を引く晴人。
『ハルくん…ハルくん!!』
少しずつ離れて行くハルの背中に向かって、あたしは必死で名前を叫んだ。
一瞬止まった歩み。
けれど、ハルは振り返る事もなく走って行ってしまった。
その日から…
あたしは毎日泣いてばかりいた。
笑顔になれるはずの鈴も…
辛い思い出になってしまった。
あたし、ハルくんに嫌われるような事しちゃったのかな…
そうやって何度も何度も考えた。
でも、幼いあたしはそんな理由も分からなくて
学校でも目が合っては反らされ
話しかけても無視され
何日も辛い時間を過ごしていた。