それでも、意地悪な君が好き。
「ハル…」
震える体を守るように
あたしはそっとハルの体を包みこんだ。
「俺…お前のこと嫌いになんかなってないんだ…」
「うん…」
「本当は…
ずっとずっと香織が好きだったんだ…」
真っ直ぐとあたしを見つめるその瞳は真剣で
いつものイタズラに笑うハルの面影はそこにはなかった。
ドクンッ…ドクンッ…
こんなにも心の時計は激しく動いているというのに…
時間が止まったように、ハルから見つめられる視線に目が離せない。
ずっとずっと抱えていた不安な気持ち…
そんな思いも…
ハルの優しい瞳に
ゆっくりと溶けていく…
晴人が教えてくれた鈴の秘密。
そんな鈴に込められた思いが…
今、あたしの元に届いたよ…
いつもドキドキさせられっぱなしで
ハルのイタズラに何度も揺さぶられた心。
今度はハルの番だよ。
「あたしの願い…叶ったみたい…」
「えっ?」
戸惑っているハルに構わず、クイッとネクタイを引っ張る。
チュッ…
そしてあたしは…
そっとハルにキスをした。