それでも、意地悪な君が好き。
あたしに向かって
『行け』とだけ口を動かすハル。
そしてあたしは、緩まっていた腕を振りほどき夢中で走って逃げた。
おい‼
とだけ声は聞こえたが、誰も追いかけてくる事はなかった。
あたしはまたハルに助けてもらった。
ハルのおかげで恐怖から解放されたあたし。
あの場では感じなかった腕の痛みがどんどん増していく。
真っ赤に腫れている腕は、あの時どれだけ危険だったのかをよく物語っていた。