それでも、意地悪な君が好き。
「今出来たとこだよ」
良い匂いに包まれたリビング。
湯気を立てるオムライスが二つテーブルに並べられた。
美味しそうなオムライスに自然と笑顔になるあたし。
それを見た晴人にも笑みが溢れる。
やっぱりあたしはこの優しい笑顔が大好きだ。
悩みがぶっ飛びそうなほど幸せな時間に酔いしれる。
「美味しそう~
あっ、あたし飲み物持ってくるね
……わっ!!」
そう言いながらキッチンに向かおうとした時だった。
履いていたスリッパが脱げかけ
体が前のめりになった。
「危ない!」
転びそうになるあたしの体をとっさに支えてくれる晴人。
そして体はそのまま前方へ倒れてしまった。
ドサッ…
あれ?
痛くない…
恐怖のあまり瞑ってしまった目をそっと開けた。