不器用ハートにドクターのメス
「え……もしかして、思い当たる節あるのか?半分冗談だったのに」
言葉を返さないまま回想に突入していた神崎に、堂本は若干の驚きを含んだ、楽し気な声を上げた。
前のめり気味の堂本に対し、神崎は「そんなんじゃねえよ」と悪態をついてみせる。
「聞かせろよー。俺たち、古き良き友達だろー?」
「……うぜえ。なんだよ古き良きって」
堂本のからかいたっぷりの笑みを遠ざけるように、神崎は、乱雑な所作でグラスを持ち上げる。
グラスの中で、溶けきっていない氷がカラン、と小気味よい音を立てた。