不器用ハートにドクターのメス
けれど本当に強くなるには。素敵な女性になるには……受け身ばかりでなく、わたしも頑張っていかないと。
ほんの少しでも、自分から踏み出さないと。
そんな思いで、真由美は勇気をふり絞り、こてん、と神崎の肩先に頭をのせた。
ふっと、神崎が息を吐く音がした。
その後すぐ、真由美の頭に、心地よい重みが寄りかかる。
「……しっくりくるな」
「……はい」
互いの指先は、自然と、ゆるやかに絡まっていた。
その後二人が爆睡してしまい、駅員に起こされるはめになるのは、それから30分後の話。
そして、二人が結婚し、少しばかり眼光の強すぎる娘を授かることになるのは……
……まだもう少し、先の話だ。
【end.】2016.10.3