不器用ハートにドクターのメス
「……お、そうだ」
自分の手によって若干変形した真由美の頭を満足そうに見ながら、神崎はソファから立ち上がる。
「来週お前、俺のオペつくことになってんぞ」
「えっ」
「しっかり予習しとけよ」
楽し気な声で言い、いたずらの名残をわずかに唇にとどめたまま、神崎は背を向けて去っていった。
真由美はずっと止めていた呼吸をやっと再開させ、そろそろと、自分の頭に手を伸ばす。
かき混ぜられたそこはボサボサになっていて、その乱れようは、真由美の心をそのまま表しているかのようだった。
神崎が出ていってしばらくしてからも、真由美は触れられた部分に手を当て、顔を真っ赤にして固まっていた。