不器用ハートにドクターのメス
「今みたいに、悩みないかって……聞いてくれたのも、嬉しい、です……び、びっくりしましたけど……」
真由美はつたないながらも、誠実に言葉を選び、素直に心のありようを伝えていく。
「わたし、人見知りで。話すのもうまくないし、こんな風に悩みとか、相談できる友達もいなくって……」
けれどそこまで言ったとき、真由美ははっとしたように目を開き、真っ赤になって口をつぐんだ。
自分が思いがけずたくさんしゃべってしまったことに、たった今気づき、混乱と羞恥を覚えているようだった。
そんな真由美を目にし、神崎は再び、心臓が押し上がるような強い感覚に見舞われる。
もっと聞きたい。もっと、福原のことを知りたい。
そう思った瞬間、神崎は考える間も無く、「じゃあ、俺が」と口にしていた。
真由美が、ほおを赤く染めたまま、顔を上げる。
近い距離で、視線がかち合う。
神崎はなんとか、意図的に不機嫌な表情を作り……そして、言った。
「俺が、その……友達に、なってやる」