いつか孵る場所
「小児科は午前診で終わって、今は医師がいないんだ」

たまたま、内科の救急に入っていた至が対応出来た。

「インフルエンザだね」

結果を見て、更に血液検査に回す。

「お母さんは?」

至がハルに聞くとハルは首を横に振った。

「仕事に行きました」

「…そう。連絡は取り辛い?」

ハルは頷いた。

「多分入院しないといけないかなって思う。もし連絡取れるなら無理矢理にでも取って欲しい。連絡が取れたら僕に代わって欲しい。伝えたい事があるんだ」

血液検査からナツは極度の脱水で入院を余儀無くされ、ハルは母親の勤めるクラブへ連絡し、その時、至も必要事項を伝えた。

至は保証人の欄に自分の名前を記入し、入院手続きの書類をハルに渡すと

「この病院は出来るだけ家族の付き添いが必要なんだ。お母さんが難しいなら君が出来るかい?」

学校に行かなくてはいけないのは重々承知だったが、至はそう聞くしかなかった。

「はい」

ハルは淡々と答える。

至は頷くと、ハルに何が必要か伝えて、更に透にも手伝えるなら手伝うように指示を出した。
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