いつか孵る場所
「お疲れ様」

至はコミュニケーションルームで一人、座っている透に声を掛けた。

至は入院に必要な最低限の物品を透に買いに行かせ、その間に入院準備が出来たのでナツはそのまま入院した。
ハルも付き添いで今日は泊まる。

「あと1日、遅れていたら結構厄介な事になっていたかも」

至のその言葉に透は少しホッとした。

自分の判断は間違いではなかった、と。

抱っこした時の呼吸の音がおかしかった。

気管などの炎症が酷くなっている感覚がしていた。

検査で案の定、肺炎も起こしているのがわかった。

「…彼女?」

至の問いに透は慌てて首を横に振った。

「違うよ、同じクラスの子」

透の頬から耳が熱くなるのが自分でもわかった。

「そう…上手くいくといいねえ」

そんな事、言われるとは思ってもみなかった。

慌てて立っている至を見上げると至は何事もなかったかのように透を見つめて

「明日、学校だろ?早く帰れよ」

肩をポン、と叩いて至は立ち去った。
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