いつか孵る場所
「桃子さん、遅くまでどうもありがとう」
『いえいえ!!どういたしまして!!
また連絡入れます』
桃子の明るい声で眠気が飛んだ。
午前1時過ぎ。
今日は救急も少なく、比較的落ち着いている。
当直室でうとうとしながら医学書を読んでいると桃子からメールが入ったので折り返し電話をするとハルと食事に行った旨を伝えられた。
そして、大竹のストーカーっぽい動きの事も聞いた。
- あいつか… -
透の嫌な予感は当たっていた。
しかも、早急に対応しないと、という焦りが透を押しつぶしそうになる。
得体の知れない恐怖が透の中で生まれていた。
それでも打つ手があるかといえば、今のところない。
大竹がもっと露骨に動いてくれたらやりやすいのだが。
− とにかく、早くハルが仕事を辞めてくれるのが一番だけど… −
ハルにとってやり甲斐のある仕事なら強くは言えない。
結婚しても、続けたいと言うに違いない。
− …事務、経理、か −
ハルが今、している仕事はそういうもの。
企業にとってはなくてはならないもの。
楽に見えても実は細かく、完璧な仕事を求められる。
− あ… −
そういう仕事が自分の人脈の中でないこともない。
でもまだ時期尚早だ。
今だとタイミングが上手く合わない。
− 桃子さんには申し訳ないけど少し見張って貰おう… −
再度、透は桃子に電話を掛けた。
『いえいえ!!どういたしまして!!
また連絡入れます』
桃子の明るい声で眠気が飛んだ。
午前1時過ぎ。
今日は救急も少なく、比較的落ち着いている。
当直室でうとうとしながら医学書を読んでいると桃子からメールが入ったので折り返し電話をするとハルと食事に行った旨を伝えられた。
そして、大竹のストーカーっぽい動きの事も聞いた。
- あいつか… -
透の嫌な予感は当たっていた。
しかも、早急に対応しないと、という焦りが透を押しつぶしそうになる。
得体の知れない恐怖が透の中で生まれていた。
それでも打つ手があるかといえば、今のところない。
大竹がもっと露骨に動いてくれたらやりやすいのだが。
− とにかく、早くハルが仕事を辞めてくれるのが一番だけど… −
ハルにとってやり甲斐のある仕事なら強くは言えない。
結婚しても、続けたいと言うに違いない。
− …事務、経理、か −
ハルが今、している仕事はそういうもの。
企業にとってはなくてはならないもの。
楽に見えても実は細かく、完璧な仕事を求められる。
− あ… −
そういう仕事が自分の人脈の中でないこともない。
でもまだ時期尚早だ。
今だとタイミングが上手く合わない。
− 桃子さんには申し訳ないけど少し見張って貰おう… −
再度、透は桃子に電話を掛けた。