いつか孵る場所
「ところでハルちゃん、透はちゃんとハルちゃんにプロポーズはしたの?」

至が唐突に聞くから食後の紅茶をもう少しで吹き出すところだった。

「…ずっと一緒にいて欲しいとか支えて欲しいとは言われましたけど」

ハルはカップを置いて至を見つめた。
至の眉間に皺が寄る。

「ああ、ダメダメ。ちゃんと結婚してくださいって何で言わないんだろうね、あのバカ」

- バカ -

至の口からそんな言葉が出てくるとはちょっとショックかも。

「順番がおかしいんだよね。何もかも。
最近、何かに焦ってるから余計に行動がおかしい。
焦る前にちゃんと結婚しようって言ってとっとと婚姻届を出したらいいんだよね。
そうすれば変な男もハルちゃんに手出しできなくなるし、ウチの親ももういい年だし諦めると思うんだよね。
ただね、どこかで親に認めてもらいたいって思っているみたい、ハルちゃんの事」

だからね…
至の顔は優しいお兄さんの顔に戻った。

「もう少しだけ、時間を与えてやって、透に」

「…はい」

至は前髪をクシャっと掻く。

− 透と一緒の癖だ… −

思わずじっと見てしまった。

「ただ…僕が1つ、凄く気になる事があってね」

至は頭を抱えた。



「アイツ…正面から和平交渉をすれば良いのに多分、不必要な爆弾を投下してる。命中しなければ良いけど」
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