いつか孵る場所
「今日はありがとうございました」
宴が終わり、外に出てからハルは神立に頭を下げた。
「これぐらいは楽勝です」
神立は力こぶを作る真似をしてハルを笑わせた。
「もう、彼氏急かせて早く結婚しちゃいなさいよ。そうすれば大竹君も諦めるだろうし」
神立の切ない笑みが胸に突き刺さる。
「じゃあ、また。明日は出勤?」
「はい」
シフト制の職場なので土曜日も仕事がある。
「私も。明日、一緒にランチに行こうか?」
「はい!」
神立のおかげで本当に救われる。
大竹の事を考えると仕事を辞めたくなるが、一方でこういう人もいる。
中々辞める決心がつかないのはそれだ。
神立と駅まで一緒に歩いていた。
もう少しで駅という時。
車のクラクションが聞こえて振り返る。
「あ…」
ハルは目を大きく見開いた。
「迎えに来たよ」
透だった。
「どうして…?」
「桃子さんから聞いた。変な男に襲われるかもしれないから迎えに行けって。
まあ、職場の飲み会だから一人では帰る事がないだろうから駅近辺で待っていたら?って言われて。
さすがは桃子さん、その勘は当たってた」
少しやつれている様子の透。
それでもハルには笑顔を見せた。
そしてすぐに透は神立を見て深々と頭を下げる。
神立も頭を下げると
「いつも淡路さんにはお世話になっております。副部長の神立と申します」
きびきびした声で自己紹介をする。
「こちらこそいつもお世話になっております。高石と申します」
「高石さん、いきなりこんなこと言うのは気が引けますけれど敢えて申し上げます。
彼女、狙われてますよ。
今日は迎えに来ていただいて本当に良かったです」
透は右手を握り締め、プルプル震わせた。
「そうですか、やはり…」
「私も出来るだけ手を打ちますが、どうか、彼女を守ってあげてくださいね。では」
神立はそう言って駅の中へ消えて行った。
「かっこいい人だなあ」
「でしょ?」
車の中で二人は久々に会話をする。
「うん、あの人は信頼できるね。いい上司で良かったよ」
透は微笑んだ。
「ところでハル」
「ん?」
「本当は今晩、一緒にいたいけれど、ハルを送ってすぐに病院へ戻らないといけない。
ごめん、シャワーだけ貸して。シャワー浴びて戻って来るってみんなには言ってあるんだ」
「うん…そんな時にごめん、心配かけて」
きっと大変なことが病院で起こっているのだろう。
そんな中、自分を迎えに来てくれたことに少し胸が痛かった。
「何言ってんの!ハルがピンチの時には必ず来るよ!」
そう言って透は微笑み、片手でハルの髪の毛をクシャっと撫でた。
宴が終わり、外に出てからハルは神立に頭を下げた。
「これぐらいは楽勝です」
神立は力こぶを作る真似をしてハルを笑わせた。
「もう、彼氏急かせて早く結婚しちゃいなさいよ。そうすれば大竹君も諦めるだろうし」
神立の切ない笑みが胸に突き刺さる。
「じゃあ、また。明日は出勤?」
「はい」
シフト制の職場なので土曜日も仕事がある。
「私も。明日、一緒にランチに行こうか?」
「はい!」
神立のおかげで本当に救われる。
大竹の事を考えると仕事を辞めたくなるが、一方でこういう人もいる。
中々辞める決心がつかないのはそれだ。
神立と駅まで一緒に歩いていた。
もう少しで駅という時。
車のクラクションが聞こえて振り返る。
「あ…」
ハルは目を大きく見開いた。
「迎えに来たよ」
透だった。
「どうして…?」
「桃子さんから聞いた。変な男に襲われるかもしれないから迎えに行けって。
まあ、職場の飲み会だから一人では帰る事がないだろうから駅近辺で待っていたら?って言われて。
さすがは桃子さん、その勘は当たってた」
少しやつれている様子の透。
それでもハルには笑顔を見せた。
そしてすぐに透は神立を見て深々と頭を下げる。
神立も頭を下げると
「いつも淡路さんにはお世話になっております。副部長の神立と申します」
きびきびした声で自己紹介をする。
「こちらこそいつもお世話になっております。高石と申します」
「高石さん、いきなりこんなこと言うのは気が引けますけれど敢えて申し上げます。
彼女、狙われてますよ。
今日は迎えに来ていただいて本当に良かったです」
透は右手を握り締め、プルプル震わせた。
「そうですか、やはり…」
「私も出来るだけ手を打ちますが、どうか、彼女を守ってあげてくださいね。では」
神立はそう言って駅の中へ消えて行った。
「かっこいい人だなあ」
「でしょ?」
車の中で二人は久々に会話をする。
「うん、あの人は信頼できるね。いい上司で良かったよ」
透は微笑んだ。
「ところでハル」
「ん?」
「本当は今晩、一緒にいたいけれど、ハルを送ってすぐに病院へ戻らないといけない。
ごめん、シャワーだけ貸して。シャワー浴びて戻って来るってみんなには言ってあるんだ」
「うん…そんな時にごめん、心配かけて」
きっと大変なことが病院で起こっているのだろう。
そんな中、自分を迎えに来てくれたことに少し胸が痛かった。
「何言ってんの!ハルがピンチの時には必ず来るよ!」
そう言って透は微笑み、片手でハルの髪の毛をクシャっと撫でた。