いつか孵る場所
「でも思ったよりもネチネチじゃなくて良かった」
桃子は今日の宴の感想を至に言うと
「まあ…色々とね」
至がそう言うときは先に手を打ったという事か。
「兄さん、ありがとう」
透がお礼を言うと
「あんな奴らの話にイチイチ付き合ってられんよ。
頭は良くても人間性が悪すぎて…
そんな毒牙にハルちゃんは殺られて欲しくないし。
まあ、ハルちゃんの顔を見てほとんどは満足していると思うよ。
さあ、いつまでも飲んでるオッサン連中は放っておいて帰ろう」
至は立ち上がってハルを見て微笑んだ。
「お疲れ様。
今日はゆっくり休んで」
至は透の肩をポン、と叩いて桃子と部屋を出た。
「透、ハルさん、家の件、頼むよ」
純も立ち上がって部屋を出ていった。
「家の事しか言わんのか」
静まり返った部屋に透の声が響く。
「お義父さんの頭の中はそれしかないんでしょうね」
ハルはそっと起き上がり、透の腕に触れた。
「…帰ろっか」
透はハルの腕に自分の腕を絡める。
「うん…」
透とハルは酒で更におかしくなっている親戚に適当に挨拶をして本家を出る。
車内でようやくハルは緊張が解けた。
「どうやら兄さんが相当牽制していたみたい。
みんな大人しかった」
余程おかしかったのか透はハンドルを握りしめたままクスクス笑っている。
「僕は昔から大嫌いだからね、親戚が。
集まれば自分の仕事の話や子供の自慢話。
どうでも良いよ。
最近は孫の話で盛り上がってるって兄さんから聞いてるけど…」
「…じゃあ、お義父さんもばくだんちゃんの事をそう言うのかしら」
ハルはお腹に手を当てた。
「…何、その【ばくだん】って」
透がチラッとハルを見る。
「あ…しまった!思わず…」
ハルは口を押さえた。
「何、教えて?
それってお腹の子のあだ名?
何でそんな物騒なあだ名を?」
「いや…これは…あああ…、気持ち悪い」
「ここでは勘弁して!」
念の為に用意していた大量のビニール袋が役に立った。
桃子は今日の宴の感想を至に言うと
「まあ…色々とね」
至がそう言うときは先に手を打ったという事か。
「兄さん、ありがとう」
透がお礼を言うと
「あんな奴らの話にイチイチ付き合ってられんよ。
頭は良くても人間性が悪すぎて…
そんな毒牙にハルちゃんは殺られて欲しくないし。
まあ、ハルちゃんの顔を見てほとんどは満足していると思うよ。
さあ、いつまでも飲んでるオッサン連中は放っておいて帰ろう」
至は立ち上がってハルを見て微笑んだ。
「お疲れ様。
今日はゆっくり休んで」
至は透の肩をポン、と叩いて桃子と部屋を出た。
「透、ハルさん、家の件、頼むよ」
純も立ち上がって部屋を出ていった。
「家の事しか言わんのか」
静まり返った部屋に透の声が響く。
「お義父さんの頭の中はそれしかないんでしょうね」
ハルはそっと起き上がり、透の腕に触れた。
「…帰ろっか」
透はハルの腕に自分の腕を絡める。
「うん…」
透とハルは酒で更におかしくなっている親戚に適当に挨拶をして本家を出る。
車内でようやくハルは緊張が解けた。
「どうやら兄さんが相当牽制していたみたい。
みんな大人しかった」
余程おかしかったのか透はハンドルを握りしめたままクスクス笑っている。
「僕は昔から大嫌いだからね、親戚が。
集まれば自分の仕事の話や子供の自慢話。
どうでも良いよ。
最近は孫の話で盛り上がってるって兄さんから聞いてるけど…」
「…じゃあ、お義父さんもばくだんちゃんの事をそう言うのかしら」
ハルはお腹に手を当てた。
「…何、その【ばくだん】って」
透がチラッとハルを見る。
「あ…しまった!思わず…」
ハルは口を押さえた。
「何、教えて?
それってお腹の子のあだ名?
何でそんな物騒なあだ名を?」
「いや…これは…あああ…、気持ち悪い」
「ここでは勘弁して!」
念の為に用意していた大量のビニール袋が役に立った。