いつか孵る場所
「本当にごめんなさい」
真由は玄関先でハルに頭を下げた。
「いえいえ、さっきまで横になっていたから大丈夫。
どうぞ入って」
真由と4人の子供達がぞろぞろと透のマンションに入って行く。
結局、真由達はプレゼントを持って行く羽目になり、まだ帰ってきて間もないハルに大変気を使っていた。
「ご飯まだでしょ?
向こうで買ってきた海鮮とかあるから一緒に食べない?
透から聞いてすぐに簡単な物だけど他にも作ったから食べていって」
子供達は大喜びだが、真由は冷や汗タラタラかいていた。
「本当に大丈夫?」
「うん、働いているよりはずっと楽。
それに…この10日間くらい透のご両親や親戚への挨拶とか神経は使ったけれど、透と一緒に過ごせたからそれだけで幸せかも」
幸せそうな顔をするので真由も思わず微笑んだ。
「良かった…。
それと後れ馳せながらご結婚、おめでとうございます」
真由が頭を下げるとハルも
「ありがとうございます」
本当に優しい笑みを浮かべるので真由も幸せになりそうな気分だ。
「本当に良かった。
淡路さんと透君が再会してくれて」
真由は子供と一緒にローテーブルを出して、ハルと食事の準備に取り掛かる。
「私は平野さんに感謝しているわ。
…透から聞いたけど私に連絡先を聞こうとして、結局タイミングが合わなかったり…。
上司との事で悩んでいたあの時、止めておいた方が良いって言ってくれたしね」
いやいや、と言ってハルは頭を左右に振った。
「これは透君の粘り勝ちと思う。
透君の心の中にはずっと淡路さんがいたよ。
高校卒業後、大学行ってからも、お医者さんになってからも。
言葉には出さないけれど、わかるのよ」
こんな事、言ったら笑われるかもしれないけれど、と真由は前置きをして
「拓海君と透君。
二人、何故か仲が良くて高校の時、よく3人でお茶したりしていたけど、パッと見て真逆のタイプなのに何で一緒にいるのかなあって思ってたの。
今から考えたらあの二人は性格がソックリなのね。
拓海君も職人気質な所があるけれど透君もそう。
そしてどこか孤独な部分も。
拓海君は志半ばでこの世を去ったけれど、透君には絶対に幸せになって欲しい。
そう願っていたの」
真由は祈るように手を合わせて目を閉じた。
「彼はまだまだこれから医療という分野で活躍する人だし、どうか支えてあげてね。
淡路さん…いえ、ハルちゃんだけがこの世で透君を支える事が出来ると思う」
真由はそう言うとハルをギュッ、と抱きしめた。
「…何か手伝える事があればいつでも言って。
透君は忙しくてほとんど家にいないと思うけど、寂しい時は私が来るわ。
赤ちゃんが産まれて子育てが辛ければいつでも手伝うから、ね?」
真由は玄関先でハルに頭を下げた。
「いえいえ、さっきまで横になっていたから大丈夫。
どうぞ入って」
真由と4人の子供達がぞろぞろと透のマンションに入って行く。
結局、真由達はプレゼントを持って行く羽目になり、まだ帰ってきて間もないハルに大変気を使っていた。
「ご飯まだでしょ?
向こうで買ってきた海鮮とかあるから一緒に食べない?
透から聞いてすぐに簡単な物だけど他にも作ったから食べていって」
子供達は大喜びだが、真由は冷や汗タラタラかいていた。
「本当に大丈夫?」
「うん、働いているよりはずっと楽。
それに…この10日間くらい透のご両親や親戚への挨拶とか神経は使ったけれど、透と一緒に過ごせたからそれだけで幸せかも」
幸せそうな顔をするので真由も思わず微笑んだ。
「良かった…。
それと後れ馳せながらご結婚、おめでとうございます」
真由が頭を下げるとハルも
「ありがとうございます」
本当に優しい笑みを浮かべるので真由も幸せになりそうな気分だ。
「本当に良かった。
淡路さんと透君が再会してくれて」
真由は子供と一緒にローテーブルを出して、ハルと食事の準備に取り掛かる。
「私は平野さんに感謝しているわ。
…透から聞いたけど私に連絡先を聞こうとして、結局タイミングが合わなかったり…。
上司との事で悩んでいたあの時、止めておいた方が良いって言ってくれたしね」
いやいや、と言ってハルは頭を左右に振った。
「これは透君の粘り勝ちと思う。
透君の心の中にはずっと淡路さんがいたよ。
高校卒業後、大学行ってからも、お医者さんになってからも。
言葉には出さないけれど、わかるのよ」
こんな事、言ったら笑われるかもしれないけれど、と真由は前置きをして
「拓海君と透君。
二人、何故か仲が良くて高校の時、よく3人でお茶したりしていたけど、パッと見て真逆のタイプなのに何で一緒にいるのかなあって思ってたの。
今から考えたらあの二人は性格がソックリなのね。
拓海君も職人気質な所があるけれど透君もそう。
そしてどこか孤独な部分も。
拓海君は志半ばでこの世を去ったけれど、透君には絶対に幸せになって欲しい。
そう願っていたの」
真由は祈るように手を合わせて目を閉じた。
「彼はまだまだこれから医療という分野で活躍する人だし、どうか支えてあげてね。
淡路さん…いえ、ハルちゃんだけがこの世で透君を支える事が出来ると思う」
真由はそう言うとハルをギュッ、と抱きしめた。
「…何か手伝える事があればいつでも言って。
透君は忙しくてほとんど家にいないと思うけど、寂しい時は私が来るわ。
赤ちゃんが産まれて子育てが辛ければいつでも手伝うから、ね?」